教員から塾講師になって改めて思うこと、
「学力は小学生から」ということだ。
小学生は遊びから学ぶ、ごもっともである。
しかし、遊んでばかりでも危険である。
多くの保護者の方は中学生になったわが子の順位に「こんなにできなかったのか!」と気付くのかもしれない。
そこで、始まる、保護者の「勉強しなさい!」攻撃。
決して無意味であると、科学的な見地から「学力の経済学」(著者中村牧子)の中でも証明されている。
中学1年生になると、塾探しに奔走するかもしれない。
しかし、1年間ではなかなか成果は出ない。学力もすぐには上がらない。
それはそうだ。どんな東大生の勉強法本でも書いてあるが、
いきなり学習時間は増やせないというものである。
学習時間は2時間こなせるようになり、すると、3時間こなせるようになる。
これは、まさにマラソンに似ている。
10キロ走れるようになると、フルマラソンも可能になるとよく言うのだ。
こうして、徐々に、学習に集中できる肉体作りが完成するのである。
つまり、小学生からの家庭学習の定着が中学1年生で成績を伸ばすのには
絶対的に必要な、不可欠な要素である。
こうして、中学1年生でなんとなく、頑張らせてみたものの、ついに反抗期の中学2年生に突入する。
反抗期のことを、慶応義塾大学医学部小児科教授の高橋孝雄先生はこう言う。
「親は反抗期という嵐に巻き込まれる必要はない。」と。
しかし、巻き込まれないと親が努力したとしても、成績表は定期的にやってくる。
その時、とんでもない点数だったとする。
そこで、出るのが、「勉強しなさい!」である。
ここでいくら、親が嵐の渦中にいる子供たちに命令しても、決して子供たちは勉強しない。
中学2年生の多感な時期に、それまで勉強してこなかった子供が自主的に勉強できるほど、
精神的にはなかなか成熟していない。
こうして、親子のバトルは続き、傷つけ合うことにはなるのだが、
果たして、中2病ならぬ、反抗期を終え、いよいよ中3の高校入試が近づくのである。
すると、高校に入れればという消極的な気持ちになり、そのまま高校に入学する。
高校では、すでにある程度のヒエラルキーがあるため、よほどの進学校に入らない限りは
難関大学合格という道は極めて狭いものとなる。
このストーリーはあくまで例にすぎないが、強調しておきたいのは、
中学での学習がすでに小学生の習慣から始まっていることを強調しておきたいのである。
小学生の学習の復習に少し難解になった内容が中学生の勉強だからである。
ほとんどの学習の一部は小学生のうちに解いている問題とさほど変わらない。
例えば、日本地図や世界地図だって、小学生のうちに覚えてしまえば
中学生でもまた出題され、さらに高校生ではベースの知識として必要になる。
英単語だって、結局は何千、何万も覚えなくてはならないのだから、
500くらいは覚えてから、中学を迎えた方が断然楽である。
漢字だって、結局、中学生で1330字も覚えなくてはならないのだから、
小学生の1026字をマスターするにとどまらずに+500くらい覚えてから
中学生を迎えたほうが良いに決まっている。
これは、早期すぎる幼児教育を決して容認するものではない。
私は早すぎる幼児教育には反対である。
ここではあくまで小学生になってからの話である。
これは詰め込みではなく、高校入試や大学入試が変わるとは言え、
結局は暗記した知識を要求されるからこそ、その逆算的な発想である。
もちろん、入試に出ないのであれば、「思考力」ばかりを強調すべきであろうが、
何の知識もない「思考力」はそもそも存在しない。
教員時代、同僚とよくこんな話になった。
確かに、今後、「記述力」や「思考力」「問題解決力」の時代であり、
入試も変わるというけれど、知識のない生徒は
そもそもそれを広げる力も思考力もなかなか身に付かないと。
例えば、いざ、思考力を測るディベートなどを行うとする。
すると、どうだろう。
何の知識もない子供は全く「話すことさえできない。」
結果、知識のあるお子さんばかりが独壇場のようになってしまうことがある。
つまり、思考力は決して知識と切り離せないものであり、表裏一体である。
思考力を身につけるために、基本として知識は絶対的に必要ということである。
いや、今回の趣旨は知識と思考力の話ではない。
反抗期の話である。
今回、本当に主張したいのは、
中学生になってからの、半端ないバトルよりも、
小学生の素直なうちに教育しておく方が合理的だと言いたいのである。
合理的という言葉を使うと、少々、子供を投資対象のように扱うようで憚れるのであるが、
決して、そうではなく、お母さんたちの心を軽くしたいと考え、
この代表つぶやきはいつも書いている。
子供の学力不信に悩むお母さんたちを少しでも勇気づけたいと思い、
アドバイスをしているつもりである。
どんな子供でも小学校のうちは素直に親の言うことを聞こうとするはずだ。
よほどの個性の持ち主でなければ、子供は親に愛されたいから頑張るのだ。
こうした素直な気持ちを持ってくれているうちに、
徹底的にうまいこと学習はさせながら、どんどん褒めてあげれば良いと思う。
こうして、子供たちは自信を持って成長していく。
たとえ、反抗期を迎えたとしても、自分で自主的に勉強する姿勢が
小学生のうちに完成していれば決して反抗期も怖くないということである。
強調しておこう。
小学生のうちなら、素直に言うことを聞けるわが子も、
中学生になると、反抗期という「嵐」を迎え、誰にも手がつけられなくなる。
大人のどんな言葉も耳には入らない。
むしろ、親の言葉を排除する時期が必ず来る。
これは誰でも、起こりうることなので、ぜひ強調しておこう。
反抗期のお子さんに「勉強しなさい。」は無意味の産物でしかなくなる。
であれば、小学生のうちにきちんと勉強しておいて、ある程度、
他のお子さんからリードしておくことが大事であり、
ちょっとしたお母さんたちのストレス回避のための手法だとも考えている。
反抗期から頑張っても無駄だから、小学生のうちから教育に力をかけておこうということだ。
スターグリーンでは、極力、答えを言わない。
特に、国語の読解は必ず文章を答えがあるので、そこから見つける
「最良の解答を提出してください。」と指導している。
テストでは最後に答えを書く、分からない中でも解答するということを
意識的に行ってもらいたいからである。
すぐに、「分からない。」というお子さんがいるが、
これは甘えである。
最良、最善、最上の答えを示してくれればそれで良いのだ。
こうすることで、「思考力」のみならず、「推測力」が身に付くと考えているのである。
多くの難関大学の英語の長文では、
必ず、誰も知らないようなマニアックな英単語が登場する。
そこで、分からないとすぐに結論を出すのではなく、
何か一つの単語からでも紐解いて推測していく力が要求される。
丸暗記では通用しないのが難関大入試である。
そこで、実践的な力を小学生のうちから鍛えているという訳である。
一見、冷たいかもしれないが、子供は甘えられるところには
できる限り、甘えたいし、楽な道にも進みたがる。
だから、小学生のうちから訓練しておく必要があるのだ。
これもまた、中学生になってから、
「あえて答えを言わない。」といくら説明しても
「あの先生、教えてくれない。」と文句を言ったりするもので、
何でも悪くなってしまう。
今、かわいいわが子の想像は容易くないかもしれないが、
反抗期のわからずやっぷりには人からよく聞いて備えが必要だ。
その「備え」が小学校からの勉強なのである。
これが、お母さんたちの心を軽くする私の持論であり、おすすめの方法でもある。
読んでいただき、ありがとうございます。
スターグリーンがお役に立てますように。